結論、ヨーグルトは犬に与えても大丈夫な食べ物です。たんぱく質やミネラル、乳酸菌などが含まれているため、愛犬の健康維持に役立ちます。本記事では、ヨーグルトが犬にもたらす栄養素やその効果、メリット、与える際の注意点などについて解説します。
犬がヨーグルトを食べても大丈夫?
ヨーグルトは犬が食べても大丈夫な食べ物です。ヨーグルトには、乳酸菌が含まれており、整腸作用や免疫力向上、悪玉菌増殖の抑制を促してくれるため、犬の健康維持・促進に貢献します。また、たんぱく質やミネラルも含まれており、健康をサポートしてくれる食べ物の一つです。
ただし、脂質が多いため、適量を与えるように気をつける必要があります。また、アレルギーが発生する可能性もあるため、初めてあげる際には少量から与えるようにしましょう。
ヨーグルトは主に牛乳からできています。牛乳には、乳糖という成分が含まれており、犬に牛乳を与えると乳糖が原因で、消化不良や下痢になることもあり、与えない方がよいとされています。しかし、ヨーグルトにする際には発行工程で乳糖が分解されるため、犬が食べても大丈夫な食べ物となります。
ヨーグルトが犬にもたらす栄養素と効果
ヨーグルトには、犬の健康維持に役立つ栄養が豊富に含まれています。代表的な栄養素とその効果について説明します。
たんぱく質
ヨーグルトには、たんぱく質が豊富に含まれており、犬の体内でアミノ酸に分解され、さまざまな健康的なメリットをもたらしてくれます。犬は一部のアミノ酸を体内で生成することができますが、生成できないアミノ酸も存在しそれらを必須アミノ酸と呼びます。必須アミノ酸は、犬の食事において欠かせません。
たんぱく質の摂取は、まず筋肉の健康を保つことに寄与し、筋肉の成長や維持、修復が促され、活動的な犬の生活を支えてくれる栄養素です。また、抗体はたんぱく質から作られているため、免疫システムの維持にも不可欠な存在で、適切なたんぱく質の摂取は病気や感染から愛犬を守るのに役立ちます。
さらに、犬の皮膚や毛の健康にもメリットをもたらしてくれます。たんぱく質が不足すると、皮膚の問題や毛の質の低下を引き起こす可能性があります。健康的で光沢のある毛並みや健康的な皮膚を維持し続けるためには、適切なたんぱく質の摂取が必要なのです。他にも、代謝機能を支える役割を担っています。たんぱく質は酵素やホルモンの生産に必要であり、これらは健康な代謝を維持するのに貢献してくれます。酵素は消化を助け、体内の栄養素の吸収を最適化します。
しかし、過剰摂取は肝臓や腎臓に負担をかけることがあります。そのため、犬の年齢、サイズ、活動レベル、健康状態に応じて最適なたんぱく質の量を見極めることが大切です。腎臓疾患などを持っている場合はたんぱく質を制限する必要があるため、獣医さんへ相談するなどしておくと安心でしょう。
ちなみに、ヨーグルトの量の約3.6%はたんぱく質であると言われており、体内で作ることのできない必須アミノ酸も10種類が含まれています。牛乳よりも吸収のしやすい良質なたんぱく質源です。
ビタミンA
ヨーグルトには、犬の健康にとって不可欠な脂溶性ビタミンであるビタミンAが含まれており、視覚、皮膚と被毛の状態、免疫機能にメリットをもたらします。
まず、ビタミンAは視覚の正常な機能に不可欠です。特に、暗い環境での視力を支えるロドプシンという視覚色素の形成に必要です。ビタミンAが不足すると、夜盲症を発症する可能性があり、これは暗闇での視覚が悪化する状態を指します。したがって、ビタミンAの摂取は視覚の健康維持に不可欠な存在です、
また、皮膚と被毛の健康においても、ビタミンAの役割は重要です。皮膚細胞の成長と修復を助け、健康的な皮膚を維持します。皮膚を強く保ち、感染症や疾患から保護するバリア機能を強化します。さらに、光沢のある被毛をもたらす要因ともなります。さらに、免疫機能においても、犬の体が病原体と戦う能力を高めることで、感染症からの保護をサポートしています。特に、粘膜の健康を維持することによって、病原体が体内に侵入するのを防ぎます。他にも健康的な歯や骨の形成に寄与したり、抗酸化作用やアンチエイジング効果を持っていたりします。
そのなかでも、血管のアンチエイジングが期待できるという研究もあります。そのため、成分が血行促進などの作用を示し、心臓病の予防効果も期待できるかもしれません。
ビタミンB1
ヨーグルトには、犬の健康にとって重要な水溶性ビタミンであるビタミンB1(チアミン)が含まれており、このビタミンは犬のエネルギー代謝、神経系の機能、および心臓健康に対して多くのメリットをもたらします。
エネルギー代謝において、ビタミンB1は炭水化物の代謝を助け、食事から摂取したグルコースをエネルギーに変換する役割を担います。このプロセスは、犬が日々の活動に必要なエネルギーを供給するために不可欠です。ビタミンB1が不足すると、犬は疲労や筋力の低下につながる可能性があります。
また、ビタミンB1は神経系の健康にも不可欠です。神経伝達物質の生成に関わっており、神経細胞間での信号伝達を支援します。犬の筋肉の調整と反射に重要な役割を果たし、神経系が正しく機能するのを助けます。ビタミンB1不足は、歩行異常、食欲不振、神経障害につながる可能性があります。さらに、心臓の健康に関連し、心臓筋の正常な機能をサポートし、心臓病のリスクを減少させます。心筋と血管系の機能に影響を与え、適切な心臓のリズムと血液循環を維持するのに役立ちます。
他にも、胃腸の動きを促進し、食物の消化と栄養素の吸収を助けることで、全体的な消化機能をサポートします。
ビタミンB2
ヨーグルトには、犬の健康に欠かせない水溶性ビタミンであるビタミンB2(リボフラビン)が含まれています。このビタミンは、エネルギー生成や細胞保護、赤血球形成に重要な役割を果たし、犬の健康維持に寄与します。
まず、ビタミンB2は、炭水化物、脂肪、たんぱく質からエネルギーを効率的に生成するために必要で、体内の細胞や組織が正常に機能するためのエネルギー供給に役立ち、愛犬の活動性や健康維持に不可欠な栄養素です。また、ビタミンB2は抗酸化物質の一つでもあり、体内の細胞を損傷から保護するため、老化の遅延やがんなどの病気のリスク低減に貢献します。
さらに、健康的な皮膚と良好な毛並みを維持するのに役立ち、皮膚疾患や被毛の問題のリスクを減少させます。ビタミンB2の不足は、皮膚の炎症や脱毛を引き起こす可能性があります。
他には、ビタミンB2は眼の疲労の軽減や白内障の予防に役立つとされ、犬の視力を保護する重要な役割を果たします。加えて、赤血球の形成においても欠かせない栄養素で、貧血の予防にも寄与します。
カルシウム
ヨーグルトには、犬の健康維持に不可欠なミネラルであり、その体内で多くの重要な機能をサポートするカルシウムが豊富に含まれています。カルシウムの摂取は、骨や歯の健康、筋肉機能、神経伝達、血液、心臓の健康など、犬の全体的な健康に寄与します。
まず、カルシウムは犬の骨格の発達と維持に非常に重要です。骨と歯はカルシウムを豊富に含み、このミネラルは骨密度と強度を高めるのに役立ちます。特に成長期の子犬や高齢犬において、適切なカルシウムの摂取は、健康的な骨格の形成と老化に伴う骨密度の低下を防ぐのに不可欠です。筋肉機能においても、カルシウムは筋収縮の調節に欠かせない役割を果たします。カルシウムは筋肉細胞内でのシグナル伝達に関わっており、効率的な筋収縮を可能にし、犬の運動能力と身体的活動に良い影響を与えます。
また、神経系においては神経伝達物質の放出を促進することで、神経系の正常な機能を支え、犬の行動、知覚、および反応に寄与します。他にも、心臓のリズムを調節し、心臓が効率的に働くのを助け、心臓の健康をサポートします。加えて、傷害が発生した場合、カルシウムは血液凝固の活性化を助け、出血を止めるのに役立ちます。
特に、犬の成長期や高齢期においては、適切なカルシウム摂取量を確保することが推奨されます。
カリウム
ヨーグルトには、犬の体内で重要な役割を果たし、細胞、組織、および器官の正常な機能維持に不可欠な必須ミネラルである、カリウムが含まれています。カリウムは、筋肉、神経伝達、細胞内の浸透圧、および心臓の健康に対して多くのメリットを提供します。
カリウムはまず、筋肉強度と耐久性を維持するために必要なため、摂取することで筋肉の正常な機能をサポートします。犬が日常的に行う走る、跳ぶ、遊ぶなどの活動に欠かせず、筋肉疲労の予防と筋肉の健康維持に役立ちます。また、カリウムは神経系の機能にも重要です。神経細胞間での信号伝達に関わっており、正常な神経伝達に寄与します。
また、細胞内の浸透圧を調整し、水分排出を調整してくれる働きがあり、健康的な代謝と体内水分の安定性を促進します。他にも、心臓の筋肉が適切に収縮するのを助け、正常な心臓のリズムを維持してくれます。加えて、高血圧のリスクを低減することが示されており、心臓病の予防に役立つ可能性があります。
ただし、腎臓や心臓に問題のある愛犬の場合、過剰なカリウム摂取は疾患の進行をより進めてしまう危険性もあるので、与える前に獣医さんに相談しましょう。
脂質
ヨーグルトには、犬の食事において重要なエネルギー源の一つである脂質が含まれています。脂質は、エネルギーを生み出すだけでなく、体温の維持、必須脂肪酸の供給、脂溶性ビタミンの吸収を促進する役割を果たします。
脂質は炭水化物やたんぱく質と同様に、犬が活発に動き回るために必要なエネルギーを与えてくれます。特に、活動的な犬や寒冷地に住んでいる犬にとって、脂質は体温を維持したり、エネルギーを補給したりすために欠かせない栄養素です。また、脂質は細胞膜の構成成分としても重要で、細胞の構造と機能をサポートしています。細胞膜は、物質の出入りを調節する重要な役割を担い、細胞内の環境を安定させるために脂質は必要とされます。
さらに、脂質には必須脂肪酸(オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸など)が存在しますが、これらの脂肪酸は犬の体内で生成することができないため、食事から摂取する必要があります。オメガ3とオメガ6脂肪酸は、炎症の抑制、皮膚と被毛の健康、心臓の健康、および認知機能の維持に役立ちます。他にも、脂質が脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収を促進してくれる効果もあります。これらのビタミンは、視覚、骨の健康、抗酸化作用、血液凝固に重要な役割を果たします。ヨーグルトに含まれる脂質は、発酵により体が分解しやすい状態になっているので、適量を守って与えると愛犬の健康維持に貢献してくれるでしょう。
しかし、過剰な脂質摂取は肥満やその他の健康問題を引き起こす可能性があるため、バランスの取れた食事が重要です。
乳酸菌
ヨーグルトには、消化器系の健康をサポートしたり免疫システムを強化したりすることで愛犬の健康に寄与する乳酸菌が豊富に含まれています。
乳酸菌は、消化器系の健康をサポートするための働きを有しており、犬の腸内フローラのバランスを正常に保ちます。バランスの取れた腸内環境は、消化を促進し、栄養素の吸収を良くしてくれることに役立ちます。また、消化器官を通過する食物の分解を助け、便秘や下痢などの消化不良の症状を緩和することが知られています。さらに、有害な細菌の成長を抑制し、腸内環境の健康を維持します。
他にも、犬の免疫を強化する効果もあります。腸内の健康は免疫機能と密接に関わっており、免疫細胞の活性化を促すことで、犬の免疫力を向上させます。それにより、感染症や病気に対する抵抗力が高まります。加えて、乳酸菌は皮膚の炎症やアレルギー症状を緩和するのに役立つ可能性があります。
犬にヨーグルトを与えるメリット
ヨーグルトは、犬の消化器系に良い影響を与える乳酸菌を豊富に含んでいます。これらの乳酸菌は、犬の腸内フローラのバランスを改善し、消化の促進と栄養素の吸収をサポートするため、便秘や下痢といった消化不良の症状を軽減してくれます。また、有害な細菌の増殖を抑制し、犬の免疫力を向上します。
さらに、高たんぱく質な食品であり、犬の筋肉の維持と修復に効果的です。たんぱく質は筋肉の健康だけでなく、骨、皮膚、毛髪の健康を支えるためにも重要です。他にも、カルシウムが含まれており、犬の骨と歯の健康をサポートしてくれ、骨粗しょう症のリスクを減少させ、骨の健康を維持するのに役立ちます。
さらに、ヨーグルトの乳糖は発酵過程で部分的に分解されているため、乳糖不耐性の犬でも比較的摂取しやすいことがあります。
ヨーグルトを犬の食事に取り入れる際には、無糖で無添加のものを選び、適量を与えることが重要です。また、初めて与える際には少量から始めて、犬の体調を観察することが推奨されます。
犬にヨーグルトを与える際の適量
犬にヨーグルトを与える場合は、体重に合わせて以下の量を参考にしてください。あくまでもカロリー上の算出値であるため、主食を阻害しない量にしましょう。
犬の体重目安 | 1日あたりの摂取可能目安 |
小型(2~5kg) | 34g~67g |
中型(6~15kg) | 77g~153g |
大型(20~50kg) | 189g~376g |
犬にヨーグルトを与える際の注意点やデメリット
ヨーグルトは、犬にも人間にも健康的な食品で、非常に多くの栄養素を含んでいます。しかし、与える際にはいくつかの注意点があるため、ご紹介します。
ラクトース(乳糖)が分解できない可能性
一般的に牛乳を与えない方がよいとされている理由は、牛乳に含まれるラクトース(乳糖)成分を分解しきれず、腹痛や下痢などの症状(乳糖不耐症)を引き起こす可能性があるためです。
ヨーグルトは牛乳が原材料であり、上記のような症状を発症する可能性が0とはいえません。乳酸菌を加えて発酵させる工程で、乳糖が分解されるため牛乳と比較すると乳糖不耐症のリスクは低下していますが、ヨーグルトを与える際には与えてから数日は様子を見ましょう。ないする酵素「ラクターゼ」の分泌が間に合わないために起こる症状で、そうした体質を「乳糖不耐症」といいます。
ヨーグルトを与える際は、無糖プレーンのヨーグルトを選びましょう。また、低脂肪や無脂肪のヨーグルトがおすすめです。
フルーツが入っているタイプのヨーグルトは与えるのは、糖分の多さや犬が食べてはいけないフルーツが入っていることもあるため控えましょう。
与える際のヨーグルトの種類
ヨーグルトは犬の三大栄養素であるたんぱく質と脂肪を多く含んでいますが、種類によっては脂質や糖質が多く含まれる製品もあり、与え過ぎてしまうと肥満の原因になります。そのため、低脂肪や無脂肪のヨーグルトがおすすめです。
また、フルーツが入っていたり、加糖成分が入っていたりするヨーグルト製品は与えないようにしましょう。犬に与えてはいけないフルーツも存在し、また加糖は愛犬の肥満や糖尿病につながる可能性があります。
アレルギー
ヨーグルトには、たんぱく質が含まれており、食物アレルギーを引き起こす可能性があります。最初は少量から与え、皮膚の痒みや湿疹、下痢、嘔吐、元気がなくなるなどが起こらないことを確認しましょう。問題なければ、その後も与えて問題ありませんが、異常が見られた際には、速やかにかかりつけの獣医さんに相談しましょう。
愛犬へのヨーグルトのおすすめの与え方
犬にヨーグルトタイミングは、食後に与えると乳酸が働きやすいため、食後がおすすめです。また、冷たいヨーグルトを与えると、胃腸に負担をかける可能性が高いため、冷蔵庫から取り出して常温になるまで待ちましょう。
上記を踏まえ、おすすめの与え方は食後に常温のヨーグルトとフルーツを混ぜ合わせてデザートのような位置づけで与えると良いかもしれません。ただし、このような与え方をする場合は一日当たりの食事量に注意が必要なため、全体の食事量を考えながら与える様にしましょう。
ヨーグルトを使った愛犬用おやつレシピ
ヨーグルトを使った犬用(5kgを想定)のおやつレシピを一つご紹介します。
材料
- プレーンヨーグルト(無糖、無添加): 1/4カップ
- バナナ: 1/2本
- 少量のお水
手順
- バナナの準備: バナナを皮から剥き、スライスにします。
- ブレンディング:ブレンダーにプレーンヨーグルト、スライスしたバナナを加えます。必要に応じて水を少量加えて調整します。
- 盛り付け:混ぜ合わせたスムージーを食器に移し、提供します。
よくあるQ&A
- 子犬がヨーグルトを食べても大丈夫?
-
子犬にヨーグルトを与えても問題ありません。与える場合は、砂糖が含まれていないヨーグルトでごく少量を与えるようににとどめましょう。
また、ヨーグルトを食べて下痢をするようなことがあれば、与えるのは控えてください。
- シニア犬がヨーグルトを食べても大丈夫?
-
シニア犬にヨーグルトを与えても問題ありません。食欲が落ちていたり、夏バテ予防などにも効果的です。しかし、腎臓や結石症を患っている場合は獣医師に相談してから与えることをおすすめします。
まとめ
愛犬の健康に役立つ栄養素が豊富に含まれるヨーグルト。しかし、与えすぎてしまうとカロリーが高いため肥満の原因になったり、腸の中で便が大きく膨らみすぎて腹痛や便が出にくくなるおそれもあります。おやつとして適量を与えるようにしましょう。