鹿肉は、牛肉や鶏肉と同様に愛犬に与えても大丈夫な食材です。高たんぱく低脂質で、ビタミンBや鉄分が含まれおり、犬の健康に役立つお肉です。本記事では、鹿肉が犬にもたらす栄養や効果・メリット、与える際の注意点について解説します。
犬に鹿肉を与えても大丈夫
鹿肉はたんぱく質やビタミンB2、ビタミンB12、鉄などを含み、犬にとって好ましい食材です。特徴としては、たんぱく質の量は牛や豚、鶏と同じくらいですが、脂質が少ない点です。(部位によって多少の違いはあります)。たんぱく質は、肉食に近い雑食性の犬にとっては、重要なエネルギー源です。皮膚・被毛などの健康維持や、筋肉維持としても効果的です。
鹿肉には、アセチルカルニチンというアミノ酸が、牛肉の約2倍が含まれており、脂肪燃焼の際に利用されるためダイエットの際におすすめです。
鹿肉が犬にもたらす栄養素と効果
鹿肉には犬の健康維持に役立つ栄養が豊富に含まれています。代表的な栄養素とその効果について説明します。
高たんぱく、低カロリー、低脂質
鹿肉には、たんぱくが豊富に含まれており、たんぱく質は犬の体内でアミノ酸に分解されます。アミノ酸は、筋肉や皮膚、ホルモン、抗体などを作るのに役立ち、愛犬の健康維持に大きく貢献します。
犬にとって、鹿肉の高たんぱく・低カロリー・低脂質という点は、健康維持に非常に役立つポイントです。鹿肉は、脂肪の少ない赤身の部分が他のお肉よりも多く、カロリーは牛肉や豚肉の約1/3程度であるといわれています。一方で、低カロリーでありながら、鹿肉に含まれるたんぱく質は牛肉の約1.7倍程度あります。
そのため、ダイエット中の犬や老犬にもよいお肉であり、市販に鹿肉を入れているケースも多々あります。
ビタミンB
鹿肉にはビタミンB群(ビタミンB1、B2、B6、B12)が含まれており、ビタミンB1、B2、B6は、皮膚や被毛、粘膜を健康な状態に保つ働きをすると考えられています。ビタミンB1が不足すると、皮膚トラブルや毛艶が悪くなったりします。ビタミンB2が不足すると、皮膚や被毛の乾燥につながるおそれがあります。ビタミンB6が不足すると、皮膚や神経、血液の異常を引き起こす可能性があります。ビタミンB12は、タンパク質の合成や赤血球の合成に貢献します。
ビタミンB1
ビタミンB1は、皮膚や粘膜の健康を維持するのに貢献します。不足すると、皮膚にトラブルが起こったり、毛艶が悪くなったりすることがあります。また、歩行障害や筋力低下にもつながります。
ビタミンB2
ビタミンB2は、細胞のエネルギー生産と赤血球形成に必要な栄養で、犬のエネルギーレベルを維持し、皮膚や被毛の健康をサポートします。
ビタミンB6
ビタミンB6は、アミノ酸の代謝をサポートする働きがあります。犬の皮膚や粘膜の健康な状態を維持します。
ビタミンB12
ビタミンB12は、赤血球の生成、神経系の正常な機能、DNA合成に必要な栄養です。犬の貧血の予防、神経系の健康維持、および細胞の正常な機能に寄与します。
鉄分
鉄分は、赤血球による血液中の酸素運搬に欠かせない役割を果たします。また、ヘモグロビンを構成する要素でもあります。
他にも、赤血球だけでなく、筋肉中のミオグロビンを構成する要素でもあり、赤血球や筋肉への酸素の取り込みに大きく貢献しています。
亜鉛
亜鉛には、免疫力の向上・サポートや、皮膚と被毛の健康維持、消化器系をサポートする働きがあります。
免疫力のサポートについては、犬の体が病気に対抗しやすくし、免疫システムの正常な機能を支援します。皮膚と被毛の健康維持については、犬の皮膚と被毛の状態を向上させ、かゆみや炎症を予防・軽減します。消化器系のサポートは、犬の胃腸の健康を維持し、食事から栄養素を吸収するのに役立ちます。
アセチルカルニチン
脂肪を燃焼させ、エネルギーを生成する際に使われる栄養素で、ダイエットや疲れやすいときに効果的で、鹿肉に多く含まれます。
オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、皮膚の健康を維持し、被毛の質を改善するのに役立ちます。特に、炎症性皮膚疾患やかゆみの緩和に寄与します。また、関節の健康をサポートする働きもあり、関節炎や関節痛の緩和に役立ちます。ほかにも、免疫力を強化して炎症や感染症を予防したり、 心臓の健康をサポートし、心臓病や高血圧のリスクを軽減したりする効果があります。
鹿肉が愛犬にもたらすメリット
鹿肉は一般的な肉類に比べて脂肪が少なく、たんぱく質が豊富です。さらに、ビタミンB群や鉄分、亜鉛といった重要な栄養素も含まれており、犬の消化系統の健康を維持し、免疫力を高め、筋肉の成長を促進するのに役立ちます。ここでは、鹿肉を与えるメリットを解説します。
高タンパク・低脂質・低カロリーでダイエットにもおすすめ
鹿肉は高たんぱくな食材であり、必須アミノ酸をはじめとする良質なたんぱく質を豊富に含んでいます。たんぱく質は、犬にとって体をつくる基本的な栄養素です。筋肉や皮膚、組織の生成・維持に不可欠で、愛犬の健康に貢献します。
また、低脂質・低カロリーという点から、体重の増加を防ぎながら体の組織を健康に保つことができるため、ダイエット中にも最適な食材です。ちなみに、カルニチンと呼ばれる脂肪を燃焼してくれる栄養素も含まれています。
皮膚と血液の健康にも寄与
鹿肉には、オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸という不飽和脂肪酸含まれており、血液をサラサラにしたりと犬の皮膚を健康に保つ働きがあります。多くの肉類には不飽和脂肪酸が入っていないため、摂取方法が難しい栄養素ですが、鹿肉を食べることで摂取することができます。
老化防止・長生きにつながる効果
愛犬の健康と長生きには、バランスのとれた食事が必要不可欠です。特に鹿肉は、ビタミン、ミネラル、良質なたんぱく質など、さまざまな栄養素をバランスよく含む食材です。
鹿肉に豊富に含まれるビタミンB群は、脳の働きを支え、神経機能を正常に保つために重要で、鉄分は犬の免疫力を強化し、病気に対する抵抗力を高めます。
これらの栄養素が、愛犬の健康と長寿に寄与します。
アレルギーのリスクが低い
牛や豚などの多くは、添加物を含むエサを摂取している可能性がある一方で、野生の鹿は自然界の草木の皮や木の実を食べるため、添加物を摂取することがあまりありません。
野生の鹿は、狩猟が狩ってから食肉として加工することから、アレルギーを引き起こすリスクが低いと考えられています。
犬に鹿肉を与える際の適量
犬に鹿肉を与える場合は、体重に合わせて以下の量を参考にしてください。あくまでもカロリー上の算出値であるため、主食を阻害しない量にしましょう。
犬の体重目安 | 1日あたりの摂取可能目安 |
小型(2~5kg) | 14g~29g |
中型(6~15kg) | 33g~67g |
大型(20~50kg) | 83g~206g |
犬に鹿肉を与える際の注意点
鹿肉を犬に与える際の注意点について詳しく説明します。
生では与えない、鹿肉が適切な処理がなされているものを選ぶ
鹿肉を与える際には、適切な処理がなされているものを選びましょう。
生肉には寄生虫などが存在している可能性がありますが、鹿肉をマイナス20℃以下で48時間冷凍処理すると寄生虫などが死滅します。このような適切な処理を行い記載されている販売元を選びましょう。
他にも、鹿肉の仕入れ先がジビエの認定処理場などから仕入れているかも確認しましょう。ジビエの認定については、農林水産省の国産ジビエ認証制度で記されています。
鹿肉を購入する際には、これらを踏まえ、狩猟から販売までに適切な処理をしているか確認しましょう。
また、生食自体が体質に合わない場合があり、免疫力が低下していたり、シニア期の老犬には、加熱した鹿肉を与えましょう。
鹿肉アレルギー
アレルギーは、体内の免疫機能がたんぱく質に対して異常に反応することで引き起こされる症状です。鹿肉にはたんぱく質が含まれているため、アレルギーを引き起こすおそれがあります。 鹿肉アレルギーがあるかわからない場合は、まず少し与えてみて、下痢や嘔吐、皮膚を痒がる、元気がなくなるなどのアレルギー症状が出ないかどうか確認してください。症状が現れた際には、速やかにかかりつけの獣医さんに診てもらいましょう。
肝臓に疾患がある愛犬には与えないようにしましょう
鹿肉は、ほかの肉に比べて銅が多く含まれています。銅蓄積性の肝臓病になりやすい体質の場合は注意してください。
腎臓に疾患がある愛犬には与えないようにしましょう
腎臓に疾患やその可能性がある場合は、鹿肉の利用は少量にするか心配な場合は使用を避けましょう。鹿肉は腎臓に負担のかかるリンを多く含むため注意が必要です。
与える頻度には注意が必要
鹿肉は嗜好性が高いため、与える頻度が多いとドッグフードを食べなくなる可能性もあります。
鹿肉ジャーキーの愛犬用レシピ
材料
- 鹿肉
手順
- 鹿肉の薄切りを均等にジャーキーシートや天板に広げます。厚さはおおよそ3〜5mm程度が良いでしょう。
- オーブンを150°C(300°F)に予熱し、ジャーキーをオーブンに入れます。約2〜3時間、ジャーキーがカリッと乾燥し、パリッとした食感になるまで調理します。ジャーキーが乾燥する過程で、ドアを少し開けて湿気を逃すことがおすすめです。
- ジャーキーが十分に冷めたら、細長いストリップ状に切り分けます。適切なサイズに切ることで、犬が食べやすくなります。
- ジャーキーを密閉容器に保存し、冷蔵庫で新鮮さを保ちます。長期保存する場合は冷凍することもできます。
まとめ
鹿肉は、高たんぱく低脂質・低カロリーで、栄養価も高いお肉です。しかし、生で与える場合は注意が必要です。
また、正しく処理された鹿肉を選ぶには、マイナス20℃以下で48時間冷凍しているや、認定施設から仕入れている点がポイントです。