犬はトマトを食べても大丈夫?
犬にトマトを与えても基本的には問題ありません。トマトは、リコピンやβカロテン(ビタミンA)などの抗酸化作用のある栄養素や、カリウムやビタミンCなどの利尿作用や免疫力の向上に役立つ栄養素など、犬の健康を維持・改善する成分を豊富に含んでいる野菜です。
しかし、未熟な青いトマトやヘタには犬にとって有害な成分が含まれているため、与え方に注意が必要です。本記事では、正しい与え方や適量、メリットなどについて解説していきます。
トマトが犬にもたらす効果とメリット
トマトはβカロテン(ビタミンA)やビタミン、リコピンを豊富に含んでおり、抗酸化作用があります。これらの栄養素以外にも、さまざまな栄養素含んでいるので、栄養素とメリットや効果を見ていきましょう
トマトに含まれる栄養素とその効果
トマトが犬にもたらす栄養素とその効果を解説します。
βカロテン(ビタミンA)
βカロテンは、犬の体内でビタミンAに変換される栄養素です。ビタミンAは、皮膚や被毛の健康状態を保ち、丈夫な粘膜や歯をつくる働きがあります。また、βカロテンはビタミンAとして働くだけではなく、強い抗酸化作用もあるため、アンチエイジングや免疫力向上にも寄与します。
ビタミンC
ビタミンCは、骨や関節、皮膚に必要なコラーゲンの生成を助ける働きがあります。犬は、ビタミンCを体内で合成することができますが、ストレスや病気などでビタミンCの消費が多い場合、トマトなどで与えるのもよいでしょう。
リコピン
トマトの赤い色素には、リコピンという抗酸化作用が豊富に含まれています。ポリフェノールの一種ですが、抗酸化作用はβカロテンの2倍以上といわれています。愛犬の健康維持やアンチエイジングに貢献する栄養素として考えられています。また、熱に強い特徴があります。
カリウム
トマトには、カリウムも豊富に含まれています。カリウムには、体液の浸透圧を調整する作用があり、体内に溜まった塩分を尿と一緒に体外に排出する働きがあります。つまり、高血圧を防ぐ役割をします。また、神経の伝達や筋肉の収縮にも深く関わっているため、愛犬の健康に大切な栄養素です。
水分
トマトは、90~94%前後が水分でできています。水分は生命維持に欠かせない成分で、普段あまり水を飲まない傾向の愛犬の水分補給として役立ちます。また、トマトは、身体を冷やしたり体内の余分な熱をとったりする働きがあるといわれています。
トマトが犬にもたらすメリット
トマトが犬にもたらすメリットを見ていきましょう。
低カロリー
トマトは、脂質や糖質が少なく、低カロリーな食材です。適量については、後ほど解説いたします。
皮膚の健康に
トマトは、ビタミンCやビタミンEを豊富に含んでおり、細胞や皮膚の健康維持に貢献します。皮膚は紫外線や有害物質から身体を守るバリア機能持っており、トマトはその皮膚の健康維持をサポートできるため、紫外線が多くなる時期に摂取することをおすすめします。
疲労回復
トマトは、有機酸(クエン酸、リンゴ酸など)という酸味を持っています。活発に運動した後などに増える疲労物質(乳酸)の処理に効果的な成分です。愛犬が疲れ気味なときには、トマトを与えてみることも検討してみましょう。
愛犬に与えてよい部位と与えてはいけない部位
トマトには、中毒症状を引き起こす物質を含んでいる部位があるため、注意して与える必要があります。ここでは、与えてよい部位と避けるべき部位について解説します。
トマトの実、種
基本的には、トマトの実と種は犬に与えても問題はありません。ただし、まだ熟していない青い実は、犬にとって有毒な成分を含んでいるため、与えるものはしっかりと熟した赤いトマトを与えましょう。
トマトの葉、茎、ヘタ、花
トマトの葉、茎、ヘタ、花には「トマチン」という犬にとって有害成分が含まれています。下痢や嘔吐などの症状がでる可能性があるため、与えないようにしましょう。
愛犬にトマトを与える際の注意点とポイント
トマトは、抗酸化作用などの栄養素を豊富に含んでいる食材ですが、愛犬に与える際には、以下のことに注意しましょう。
トマトアレルギー
トマトには、微量のタンパク質が含まれているため、アレルギー症状を引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと、以下のような症状がみられます。
- 下痢
- 嘔吐
- からだのかゆみ
- 元気がない
愛犬に、初めてトマトを与える際には、少量で。なるべくほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。そうすることで、アレルギーを症状が現れた際に重症化を抑え、原因を特定しやすくなります。
完熟したトマトを与える
未熟なトマトや茎、葉、ヘタの部分には、トマチンという犬とって有害な成分が含まれています。微量摂取であれば問題ないものの、過剰に摂取すると嘔吐や下痢の症状を引き起こす可能性があります。与える際には、完熟したトマトを与えるようにしましょう。
愛犬の口の大きさに合ったサイズに切り分ける
犬はあまり噛まずに丸のみしてしまうことが多々あるため、愛犬のサイズに合った大きさに切り分けてから与えましょう。特に、ミニトマトは小さいからといってそのまま与えてしまうと、喉につまらせる危険性があるため、切り分けてあげましょう。
トマトジュースやケチャップなどの加工食品は与えない
トマトジュースやケチャップなどの加工品は、トマト以外の調味料や添加物が含まれています。そのため、糖分の摂りすぎで肥満やその他病気を誘引する可能性もあり、与えないほうが良いでしょう。
トマトに含まれる栄養素を効率よく与えたいのであれば、トマトをそのまま食べさせましょう。
腎臓病や腎臓が弱い愛犬には控える
トマトにはカリウムが含まれており、過剰に摂取すると、血液中のカリウム濃度が上がる高カリウム血症を発症する可能性があります。血液中のカリウム値が高くなると、四肢のしびれや筋力の低下、嘔吐、不整脈、頻脈などの原因となり、最悪の場合、命を落とすこともあります。
愛犬が腎臓病を患っていたり、腎機能が衰えていたりする場合は、トマトを与えるのは控えましょう。
愛犬にトマトを与える際の適量
犬にトマトを与える場合は、体重に合わせて以下の量を参考にしてください。あくまでもカロリー上の算出値であり、主食の摂取を阻害しない量に留めることが大切です。
犬の体重目安 | 1日あたりの摂取可能目安 |
小型(2~5kg) | 94g~187g |
中型(6~15kg) | 215g~427g |
大型(20~50kg) | 530g~1053g |
犬の健康をサポートするトマトレシピ
トマトを使った犬用(5kgを想定)のレシピ(トマトと鶏肉のごはん)を一つご紹介します。
材料
- 鶏の胸肉(無皮、無骨):30g
- トマト:1/4個
- ほうれん草:約2大さじ
- 野菜(例: にんじん、かぼちゃ、サツマイモ):約2大さじ(調理後に細かく刻む)
- オリーブオイル:少量
- チキンブイヨン:約1大さじ
手順
- 鶏の胸肉を小さなサイコロ状に切り、トマトとほうれん草も細かく刻みます。
- 野菜(にんじん、かぼちゃ、サツマイモなど)を蒸して、柔らかくなるまで調理し、細かく刻んでおきます。
- オリーブオイルを使用せずに、フライパンに鶏肉を入れ、中火で調理し、色が変わるまで煮ます。
- トマト、ほうれん草、調理済みの野菜をフライパンに加え、よく混ぜます。
- チキンブイヨンをフライパンに加え、中火にし、全体がよく混ざるまで煮てください。
- 食事を冷ましてから与えてください。
まとめ
トマトは犬に与えても問題ない野菜です。しかし、完熟していないトマトやヘタなどには、トマチンという犬にとって有害な物質が含まれています。そのため、与え方は本記事でご紹介したように注意が必要です。
レシピもご紹介させていただきましたので、ぜひお試しください。