犬がりんごを食べても大丈夫?
犬がりんごを食べても問題ありません。りんごにはカリウムや食物繊維、ポリフェノールが含まれており、犬の健康維持に役立つ栄養価が含まれています。ただし、アレルギーや持病を持っている犬には与えないようにしましょう。また、与え過ぎてしまうと肥満の原因になるため与え方や与える量に注意する必要があります。
犬にとってりんごの栄養価
りんごには、腸内環境を正常に保つ食物繊維「ペクチン」、強い抗酸化作用を持つポリフェノールなど犬の健康を保つために役立つ栄養価が多く含まれています。ただし、与え過ぎは肥満の原因にもなるため主食とのバランスを考え、カロリーオーバーにならないよう注意しなければなりません。
- 食物繊維
食後の血糖値上昇を緩やかにして糖尿病を予防する効果を期待できます。また、リンゴには「ペクチン」という水溶性食物繊維が含まれています。ペクチンには腸内の悪玉菌を減らして善玉菌を増やす働きがあるので、腸内環境を改善することで、便秘や軟便の解消が期待できます。さらに、腸内環境がよくなれば、免疫力もアップすると考えられます。ただ、与え過ぎてしまうと水分量が過剰になって下痢を起こしやすくなるため、気を付けましょう。 - ポリフェノール
ポリフェノールには強い抗酸化作用があり、病気予防や老化防止の作用があります。また、脂肪燃焼作用や脂肪蓄積阻害作用、抗アレルギー作用などがあると考えられています。皮がついたまますりおろして犬に与えることでより多くのポリフェノールを摂取することが可能です。 - カリウム
りんごにはミネラルの一つであるカリウムが多く含まれています。カリウムにはナトリウムとバランスを取りながら細胞の正常を保ったり、体液の浸透圧を調整したりする働きがあります。体内に留まった塩分を尿と一緒に対外に排出することで血圧が高くなることを防ぎます。 - ビタミン類
梨に豊富に含まれるアミノ酸の一種のアスパラギン酸は、体の疲労によって生じた乳酸を分解してエネルギーに変換する作用があるため、疲労回復効果が期待できます。また、利尿作用もあるため、体内の有害物資を体外へ排出する効果もあります。愛犬の運動後などに疲労回復として与えることもおすすめです。
りんごを与える際の注意点
りんごは犬の健康維持に役立つ栄養価を含んでいますが、与え過ぎは肥満や糖尿病を引き起こす原因になる可能性があります。りんごを与える際の注意点について見ていきましょう。
りんごを与える事前準備
- 種と芯は取り除きましょう
りんごは皮がついたまま、生で与えても問題はありません。皮にはペクチンやポリフェノールが含まれているため、一緒に与えてあげることをおすすめします。しかし、種や芯には、アミグダリンというシアン化合物が含まれています大量に摂取すると消化の途中でシアン化水素が発生し、中毒を引き起こす可能性があるため、種と芯は取り除きましょう。 - 擦りつぶすもしくは、小さく刻み愛犬の口のサイズに合った大きさで与えましょう
犬は咀嚼せず丸呑みしてしまう習性があります。りんごは喉に詰まりやすいため、擦りつぶしてから与えるもしくは、小さく刻んでから与えるようにしましょう。 - よく洗ってから与えましょう
りんごの果皮には、農薬が付着している場合もあります。微量であっても、犬にとっては有害となる可能性もあるため無農薬や有機栽培のりんご以外は、よく洗ってから与えるようにしましょう。 - りんごの過剰摂取
りんごは、GI値が低いものの果糖が含まれています。与え過ぎてしまうと、肥満や下痢などの体調不良、栄養バランスの乱れにもつながります。また、りんごは水分量が多いため過剰摂取すると下痢や嘔吐を引き起こす可能性があります。あくまでも、トッピングやおやつとして適量を与え1日の総カロリーを超えないように注意しましょう。 - アレルギー
りんごを食べた数分~2日後までに症状がみられた場合、りんごに対してアレルギーを持っている、あるいは、体質に合っていない可能性があります。りんごには、少量ですがタンパク質が含まれているので、アレルギー源になる可能性はゼロではありません。
症状としては、下痢や嘔吐、皮膚のかゆみ((目の周り、口の周り、耳を痒がるなど))、元気がなくぐったりしている、目の充血などが挙げられます。このような症状が出た場合は、獣医師へ相談をしましょう。
初めて犬にりんごを与えるときは、少量にしてほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。 - 腎臓や心臓を患っている犬には与えるのを控える
りんごに含まれるカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。特に療法食を食べている犬の場合には、りんごをあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。 - りんごを与える際の適量
リンゴをおやつやトッピングとして与える場合は、1日に必要なカロリーの10%程度にとどめることをおすすめします。また、犬の年齢や健康状態によっては、特定栄養素の過剰摂取につながることもあるので注意しましょう。カロリー上の算出値を下記に掲載しますが、あくまでも参考値となります。主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。
犬の体重目安 | 1日当たりの摂取可能目安 |
小型(2~5kg) | 34g~67g |
中型(6~15kg) | 34g~67g |
大型(20~50kg) | 189g~376g |
犬にりんごを与えるメリット
犬がりんごを食べるとどのような効果があるのでしょうか。さっそく見ていきましょう。
口臭予防への効果
りんごを犬に与えることで口臭予防につながります。りんごにはフラビノイドという抗酸化作用を持った物質が含まれています。このフラビノイドには、口の中の細菌の増殖を抑える効果があり、それにより口臭を発生させる原因を抑えることが可能になるのです。
また、犬がりんごをよく噛むことで唾液も出やすくなります。唾液には口内を清掃し、口臭の原因となる食べ物の残渣や細菌を洗い流す効果があります。
便秘解消への寄与
りんごには食物繊維が含まれているので犬の便秘解消に役立ちます。りんごの食物繊維は水分を含むと膨らむ性質があり、それにより便秘改善に対する働きをします。
また、食物繊維が腸の中で発酵し、便通をよくする短鎖脂肪酸をつくりだすため、便通がスムーズになります。
健康維持・改善へつながる
りんごにはビタミンCやカリウムなど、犬の体に必要な栄養素が豊富に含まれています。これらの栄養素は、犬の皮膚や被毛の健康、免疫力の強化、消化器系の健康を維持するのに必要です。また、老化防止にも役立つと言われています。
犬にりんごを与えるデメリット
犬がりんごを食べた際のデメリットもご紹介します。
与えすぎによる体調不良
りんごは、その甘さや食感から愛犬も喜ぶ食べ物です。しかし、人間と同じ大きさで皮ごと与えると下痢などの体調不良を引き起こす可能性があります。大量に食べると、腹部が膨らみ痛みを感じることや胃や腸がうまく働かなくなる可能性もあります。
食べすぎが習慣化すると胃腸の働きが悪くなったり、体重が増加することもあります。そのため、犬にリンゴを与える際には適量を心がけ、1日に与える量や与える頻度に注意することが必要です。
りんごが苦手な犬種もいる
犬種によっては歯が弱く、固いりんごを食べることが難しい場合もあります。また、犬種によっては味覚が特殊で、甘いものが苦手という犬もいます。例としては、ブルドッグやダックスフンドなどが挙げられます。
また、子犬や老犬の場合は、消化機能が弱いためにりんごを与えると下痢を起こす可能性があります。これらの犬種や年齢の犬に対しては、リンゴを与える際には皮を剥いたり、小さく切ったりするなどの工夫が必要となります。
アレルギーのリスク
犬には、人間同様に特定の食材に対するアレルギー症状を示すこともあります。そのなかには、リンゴに反応する犬も少なからず存在します。
具体的な症状としては、吐き気、異常な飲水量、皮膚のかゆみ、腹痛や膨満感などがあります。これらの症状が見られた場合は、りんごを与えるのを止め、獣医師の相談をしましょう。愛犬の健康を維持するためにも、食べ物に対する反応をしっかりと観察しましょう。
よくあるりんごに関するQ&A
りんごを与える際によくある質問をご紹介します。早速見ていきましょう。
りんごを使った加工食品は与えても大丈夫?
原材料がりんごのみであれば問題ありませんが、一般的に人間用に加工された製品は、甘味料や油脂・小麦・乳製品などが含まれていることが多く、犬の健康を阻害することがあるので与えないようにしましょう。
子犬にりんご与えても大丈夫?
子犬は消化器官が未発達で体も成長途中のため、りんごは与えないようにしましょう。どうしても与えたい場合は、生後3~4カ月頃であれば消化に負担のないすりおろした状態で与えてあげましょう。固形の場合は、犬が固形食を食べることができる6カ月以降から与え始めるとよいでしょう。
シニア犬にりんご与えても大丈夫?
りんごを与えても問題はありませんが、内臓機能が衰えるシニア犬(老犬)ではすりおろしてあげるなどの配慮が必要です。また、カリウムも含まれているため腎臓病や心臓を患っている犬は与える前に獣医師へ相談をしましょう。
まとめ
りんごは犬の健康維持に役立つ栄養が豊富に含まれており、甘いりんごが好きな犬は多いでしょう。しかし、与えすぎてしまうと愛犬の健康を害してしまう可能性があるため、あくまでもおやつやトッピングとして与えるようにしましょう。