結論、ひじきは犬が食べても大丈夫な食材です。ビタミンやミネラル、食物繊維などが含まれており、犬の健康維持に役立ちます。しかし、適量を守る必要があったりするなど注意点もあります。本記事では、ひじきが犬にもたらす栄養や効果・メリット、与える際の注意点について解説します。
犬にひじきを与えても大丈夫
ひじきには、適量を守れば、犬の健康に悪影響を及ぼす成分が含まれていないため、与えても大丈夫な食材です。愛犬の目や皮膚の粘膜を健康に保つビタミンAや、骨や歯を構成する要素であるカルシウムなどのミネラル、便秘改善につながる食物繊維が含まれています。
しかし、与えすぎは、健康を害する場合もあるので、与える量やのその方法には注意をしましょう。
ひじきが犬にもたらす栄養素と効果
ひじきには犬の健康維持に役立つ栄養が豊富に含まれています。代表的な栄養素とその効果について説明します。
βカロテン(ビタミンA)
βカロテンは犬の体内でビタミンAに変化し、皮膚や眼、粘膜の保護、健康な歯をつくるのに役立つ栄養素です。不足すると、免疫低下や骨の形成不全につながる可能性があります。 また、βカロテン自体に抗酸化作用もあります。βカロテンやビタミンEは、抗酸化成分でアンチエイジング効果を持っているといわれています。そのなかでも、血管のアンチエイジングが期待できるという研究もあります。そのため、成分が血行促進などの作用を示し、心臓病の予防効果も期待できるかもしれません。
近年、「βカロテン→ビタミンA」という代謝が、他の動物と比べて犬は活発に起こるという研究も報告されています。少量のβカロテンでもビタミンAが多く作られるため、適量を守って与えることが大切です。
ビタミンB
ひじきには、ビタミンB群(ビタミンB1、B2、B3(ナイアシン)、B6、B9(葉酸))が含まれており、ビタミンB1、B2、B6は、皮膚や被毛、粘膜を健康な状態に保つ働きをすると考えられています。ビタミンB1が不足すると、皮膚トラブルや毛艶が悪くなったりします。ビタミンB2が不足すると、皮膚や被毛の乾燥につながるおそれがあります。ビタミンB6が不足すると、皮膚や神経、血液の異常を引き起こす可能性があります。
ビタミンB1
ビタミンB1は、皮膚や粘膜の健康を維持するのに貢献します。不足すると、皮膚にトラブルが起こったり、毛艶が悪くなったりすることがあります。また、歩行障害や筋力低下にもつながります。
ビタミンB2
ビタミンB2は、細胞のエネルギー生産と赤血球形成に必要な栄養で、犬のエネルギーレベルを維持し、皮膚や被毛の健康をサポートします。
ビタミンB3(ナイアシン)
ビタミンB3は、セラミド合成を促進し、皮膚の保湿力を向上させる働きがあります。また、糖質や脂質、タンパク質をエネルギーに変換する時に必要になる酵素の働きをサポートします。不足すると、皮膚炎を引き起こす可能性があります。
ビタミンB6
ビタミンB6は、アミノ酸の代謝をサポートする働きがあります。犬の皮膚や粘膜の健康な状態を維持します。
ビタミンB9(葉酸)
葉酸は、ビタミンB群の一つで、DNAの合成に関わる栄養素です。細胞の生産や再生を支援する役割を果たします。そのため、お腹に赤ちゃんのいる母犬や、成長期の犬に必要な栄養素であると考えられています。
また、赤血球の生成にかかわっており、不足すると貧血や口内炎になる可能性があります。
ビタミンB12
ビタミンB12は、赤血球の生成、神経系の正常な機能、DNA合成に必要な栄養です。犬の貧血の予防、神経系の健康維持、および細胞の正常な機能に寄与します。
ビタミンK
ビタミンKは、骨を形成したり丈夫にしたりする働きや、出血があった際に血を止める凝血作用があります。あるも多く含まれています。
犬は自分の腸内でビタミンKを合成することができますが、消化器の状態などにより生成力が低下している可能性がある場合は、ひじきなどの食物やサプリメントで補うとよいでしょう。
カリウム
カリウムは、細胞内の浸透圧を調整し、水分排出を調整してくれる働きがあります。他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しているといわれています。
ただし、腎臓や心臓に問題のある愛犬の場合、過剰なカリウム摂取は疾患の進行をより進めてしまう危険性もあるので、与える前に獣医さんに相談しましょう。
カルシウム
カルシウムは、筋肉の収縮や弛緩(筋肉をスムーズに動かす)や、骨・歯の構成要素として必要な栄養素です。また、神経細胞の興奮と伝達を調節して神経の正常機能維持する働きもあり、不足するとイライラしたり神経過敏につながる可能性があります。卵の黄身と殻に、カルシウムが多く含まれています。
鉄分
鉄分は、赤血球による血液中の酸素運搬に欠かせない役割を果たします。また、ヘモグロビンを構成する要素でもあります。
他にも、赤血球だけでなく、筋肉中のミオグロビンを構成する要素でもあり、赤血球や筋肉への酸素の取り込みに大きく貢献しています。
マグネシウム
マグネシウムは、体内のミネラルバランスを整え、血圧や体温維持にかかわっています。また、骨の成分としても重要であり、マグネシウムの半分以上が骨に貯蔵され、丈夫な骨や歯を作る上で欠かせない成分です。不足すると不整脈、血圧上昇、心疾患のリスク、精神の不安定につながる可能性があります。
マグネシウムは全ての細胞や骨に存在しており、300種もの酵素反応に関わっているといわれており、愛犬の健康をサポートしている要素の一つです。
ただし、愛犬の腎機能が低下している場合は、排泄能力が落ちて高マグネシウム血症になるおそれもあるため、与える際には注意しましょう。
食物繊維
ひじきには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類の食物繊維が含まれています。水溶性食物繊維は、食後の血糖値の上昇を緩やかにする働きやコレステロールを排出する働きがあります。不溶性食物繊維は、便のカサを増して腸壁を刺激し、スムーズな排便を促します。
特に、水溶性食物繊維を多く含んでいるため、便を軟らかくして排泄を助ける働きがあります。
犬にひじきを与える際の適量
犬にひじきを与える場合は、体重に合わせて以下の量を参考にしてください。あくまでもカロリー上の算出値であるため、主食を阻害しない量にしましょう。
犬の体重目安 | 1日あたりの摂取可能目安 |
小型(2~5kg) | 12g~25g |
中型(6~15kg) | 28g~57g |
大型(20~50kg) | 71g~141g |
犬にひじきを与える際の注意点
ひじきを犬に与える際の注意点について詳しく説明します。
心臓や腎臓に疾患のある愛犬に与える際には獣医さんに相談
ひじきにはカリウムが含まれており、心臓、腎臓に疾患のある犬には制限が必要な成分です。腎臓の機能が低下していると、カリウムの排泄が減少し、高カリウム血症を発生する可能性があり、筋力低下、不整脈、消化器症状など発症するおそれがあります。
尿路結石の疾患のある愛犬に与える際には獣医さんに相談
ひじきにはマグネシウムが含まれており、摂取しすぎると結晶化して結石となり、尿路結石という疾患につながる可能性があります。そのため、尿路結石やその疑いのある愛犬へ与える際には獣医さんに相談してから与えましょう。
ひじきアレルギー
ひじきには、少量ですがタンパク質が含まれており、食物アレルギーを引き起こす可能性があります。最初は少量から与え、皮膚の痒みや湿疹、下痢、嘔吐、元気がなくなるなどが起こらないことを確認しましょう。問題なければ、その後も与えるようにしましょう。
水でもどし煮て、食べやすい大きさにカット
ひじきは水でもどし、やわらかく煮てから与えましょう。また、そのままの大きさで与えてしまうと、消化に悪かったりするので、なるべく細かくカットしてから与えましょう。
加工食品は与えない
人が食べる加工食品を食べると、塩分過多や添加物を体内に入れることもあるので、避けることをおすすめします。だし汁は添加物を加えなければ、与えても問題ありません。乾燥ひじきは、口や喉を傷つけるおそれがあるため、なるべく与えないようにしましょう。
まとめ
ひじきは、愛犬が食べても問題ない食材です。ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。一方で、食べすぎは、愛犬の健康維持に悪影響を及ぼす可能性もあるので、与える量には注意しましょう。
ひじきを与える際には、本記事を参考にしてみてください。