結論、生のエビには、中毒の原因となる成分が含まれているため、エビを犬に与える際には、加熱が必ず必要です。たんぱく質やビタミンが豊富に含まれている海鮮物なので、調理方法とアレルギーに気をつければ、愛犬の健康に役立つ食材です。本記事では、エビが犬にもたらす栄養や効果・メリット、与える際の注意点について解説します。
犬にエビを与えても大丈夫?
エビは、愛犬に食べさせても大丈夫な海産物ですが、調理方法やアレルギー症状に注意をする必要があります。生のエビには中毒を引き起こす成分が含まれていたり、エビ自体が甲殻類なので、愛犬がアレルギー症状を発症したりする可能性もあります。
ただ、ビタミンやたんぱく質が豊富で愛犬の健康に役立つ栄養が含まれているので、注意点に気をつけながら与えれば問題ありません。
犬に与えてよいエビの部位・状態は?
エビには、身や殻、尻尾といった部位があります。また、生の状態、加熱した状態で与えてもよい、与えてはいけないなどもあります。これらについて解説していきます。
生のエビ
生のエビを犬に与えるのは絶対やめましょう。エビにはチアミナーゼという酵素が含まれており、犬の体内でビタミンB1欠乏症を引き起こす原因になります。ただし、十分に加熱することでチアミナーゼを破壊することができます。エビを愛犬に与える際には、茹でたり、蒸したり、焼いたりするなど加熱してから与えましょう。
加熱したエビ
加熱したエビは、犬に与えても大丈夫です。犬にとって有毒なチアミナーゼは、加熱すること破壊されます。そのため、エビを与える際には必ず加熱してから与えましょう。
エビの身
エビの身は、加熱後であれば与えて問題ありませんが、生のエビは絶対に与えないでください。エビには、たんぱく質やビタミンが豊富なので、調理方法を気をつけて与えれば、愛犬の健康に役立ちます。
エビの殻・尻尾
エビの殻や尻尾は、喉に詰まらせたり、消化器系を傷つけたりするおそれがあるので、与えるのは避けましょう。また、消化吸収もよくない部位なので、与える際には身の部分のみにしましょう。
エビが犬にもたらす栄養素と効果
エビには、犬の健康維持に役立つ栄養が豊富に含まれています。代表的な栄養素とその効果について説明します。
たんぱく質
エビには、たんぱく質が豊富に含まれており、犬の体内でアミノ酸に分解され、さまざまな健康的なメリットをもたらしてくれます。犬は一部のアミノ酸を体内で生成することができますが、生成できないアミノ酸も存在しそれらを必須アミノ酸と呼びます。必須アミノ酸は、犬の食事において欠かせません。
たんぱく質の摂取は、まず筋肉の健康を保つことに寄与し、筋肉の成長や維持、修復が促され、活動的な犬の生活を支えてくれる栄養素です。また、抗体はたんぱく質から作られているため、免疫システムの維持にも不可欠な存在で、適切なたんぱく質の摂取は病気や感染から愛犬を守るのに役立ちます。
さらに、犬の皮膚や毛の健康にもメリットをもたらしてくれます。たんぱく質が不足すると、皮膚の問題や毛の質の低下を引き起こす可能性があります。健康的で光沢のある毛並みや健康的な皮膚を維持し続けるためには、適切なたんぱく質の摂取が必要なのです。他にも、代謝機能を支える役割を担っています。たんぱく質は酵素やホルモンの生産に必要であり、これらは健康な代謝を維持するのに貢献してくれます。酵素は消化を助け、体内の栄養素の吸収を最適化します。
しかし、過剰摂取は肝臓や腎臓に負担をかけることがあります。そのため、犬の年齢、サイズ、活動レベル、健康状態に応じて最適なたんぱく質の量を見極めることが大切です。腎臓疾患などを持っている場合はたんぱく質を制限する必要があるため、獣医さんへ相談するなどしておくと安心でしょう。
ビタミンB3
エビには、犬の健康にとって不可欠な水溶性ビタミンの一つであり、犬の体内で多くの重要な機能を果たすビタミンB3(ナイアシン)が含まれています。このビタミンは、エネルギー代謝の中心的な役割を担い、犬が食べ物から摂取した脂肪、炭水化物、タンパク質をエネルギーに変換するのを助けます。この機能は、犬が日々の活動に必要なエネルギーを補給するために不可欠な存在です。
また、健康的な皮膚を保ち、皮膚疾患や炎症を予防するのに寄与します。さらに、神経機能の正常な維持にも関わっており、神経系が適切に機能するのを支えています。他にも、消化酵素の生産を助け、食物の消化と栄養素の吸収を促進したり、白血球の生産と機能を促進し犬が感染症や病気に抵抗する力を高めたりする効果あります。
加えて、脳の健康と機能にも良い影響を与えることが示されています。脳内の神経伝達物質の合成をサポートし、認知機能の維持に寄与する可能性があります。特に高齢の犬の認知症のリスクを減少させる手段になりうるかもしれません。
ビタミンB12
エビには、水溶性ビタミンであるビタミンB12が含まれており、赤血球や神経機能、エネルギー代謝などに良い影響を与えてくれます。このビタミンは、犬の体内で自然に生成されることはないため、食事を通じて摂取する必要があります。
ビタミンB12摂取は、赤血球の生成を助ける働きがあります。ビタミンB12が不足すると、赤血球が正常生成されず、貧血が発生する可能性があります。貧血は犬にとって深刻な健康問題を引き起こすため、ビタミンB12の摂取は欠かせません。また、神経機能においてもメリットをもたらします。神経伝達物質の合成にも関与しているため、ビタミンB12が不足すると、神経障害や行動変化を引き起こす恐れがあります。
さらに、ビタミンB12はエネルギー代謝において中心的な役割を果たします。このビタミンは食事から摂取した脂肪やタンパク質をエネルギーに変換する過程に関わっており、犬の活動レベルや生活の質を支えるため、活動的な犬や成長期の子犬にとって特に重要です。他にも、腸内細菌のバランスを維持するのに役立ち、健康的な消化を促進するため、消化不良や食欲不振などの問題を防ぐのにも効果的です。
ビタミンE
エビには、犬の健康維持に必要不可欠な脂溶性ビタミンであり、強力な抗酸化作用を持つことで知られるビタミンEが含まれています。ビタミンEは、代謝過程や外部環境からのストレスから受ける細胞損傷を保護する働きがあります。
ビタミンEの摂取は、特に犬の皮膚と毛の健康において重要な役割を果たします。皮膚のバリア機能を強化し、皮膚疾患や乾燥、炎症を予防するのに効果的な栄養素です。健康的な皮膚は、良質な毛質の基盤となります。また、犬の免疫システムを強化する機能も有しています。適切な量のビタミンEを摂取することで、病原体や感染に対してより効果的に防御することができるようになります。特に年齢を重ねた犬や免疫力が低下している犬にとって、この作用は重要です。
さらに、犬の心血管系の健康にも良い影響を及ぼします。血液の循環を改善し、心臓病のリスクを低減することが示唆されています。他にも、筋肉の機能をサポートするため、特に高齢の犬に見られる筋肉障害や筋力低下を予防するのに役立ちます。
オメガ3脂肪酸
エビにはオメガ3脂肪酸が含まれており、個の栄養素は犬の健康に多く健康的なメリットをもたらす必須脂肪酸です。体内で生成することができないため、食事を通じて摂取する必要があります。オメガ3脂肪酸には主にEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、およびALA(アルファリノレン酸)の3種類があり、これらは犬の健康維持にそれぞれ寄与します。
オメガ3脂肪酸の最も注目されている効果の一つは、抗炎症作用です。炎症は多くの慢性疾患の根本的な原因であり、オメガ3はこの炎症を減少させることで関節炎やアレルギーなどの状態を改善するのに役立ちます。特に、EPAとDHAは強力な抗炎症作用を持ち、犬の関節の健康をサポートし、運動能力の向上に貢献します。また、オメガ3脂肪酸は心臓の健康にも良い影響を与えます。血圧を正常に保ち、心臓疾患のリスクを減少させることが知られています。また、心臓のリズムを安定させ、血液の循環を改善する効果があります。
さらに、脳の健康と発達においても、オメガ3脂肪酸は重要な役割を果たします。DHAは脳細胞の一部を形成しており、特に若い犬や成長中の子犬の脳の発達と認知機能の維持に不可欠です。加えて、高齢犬においては、オメガ3脂肪酸が認知症のリスクを減らす可能性があります。他にも、皮膚と毛の健康への効果も見逃せません。オメガ3脂肪酸は皮膚のバリア機能を強化し、乾燥やかゆみ、アレルギー反応を軽減します。一部の研究では、オメガ3脂肪酸は免疫システムを強化し、がん細胞の成長を抑制する効果があるとされている場合もあります。
亜鉛
エビには、犬の健康にとって不可欠なミネラルである亜鉛が含まれています。亜鉛は、免疫機能や皮膚と毛の健康の維持において重要な役割を果たします。
まず亜鉛は、細菌、ウイルス、その他の病原体に対するより免疫機能を高めることができます。感染を予防し、病気からの回復を促進するために不可欠な白血球の機能をサポートします。また、健康的な皮膚と毛の維持においても非常に重要です。健康的な皮膚細胞の成長と修復を促進し、結果として皮膚の疾患や感染のリスクを減らします。したがって、良質な毛並みの維持にもつながります。亜鉛不足は、皮膚の乾燥や炎症を引き起こすことがあります。
さらに、犬の味覚と嗅覚の正常な機能をサポートするメリットもあります。これにより、食欲と栄養摂取が改善される可能性があります。犬が食物から十分な亜鉛を得られない場合、食欲不振や成長の遅れ、免疫系の弱化などが発生する可能性があります。
タウリン
エビには、非必須アミノ酸であるタウリンが含まれています。犬はシステインとメチオニンというアミノ酸から体内でタウリンを生成する能力があるため、一般的には必須アミノ酸ではありませんが、特定の犬種や健康状態においてはタウリン摂取が必要となる場合があります。
タウリンは、心筋の機能をサポートするため心臓の健康に非常に重要な役割を果たします。また、犬の視覚の健康維持に寄与しており、網膜の損傷や視力の低下を抑制する機能があります。
さらに、タウリンは脂肪の代謝を助け、肝臓の健康をサポートします。タウリンは胆汁酸の形成に必要であり、胆汁酸は脂肪の消化と吸収に欠かせません。これにより、適切な量のタウリンを摂取することは、脂肪の代謝を促進し、肝臓の健康を維持するのに役立ちます。他にも、抗酸化作用を持ち、細胞を損傷から保護する効果もあります。
チアミナーゼ
チアミナーゼは、チアミナーゼはビタミンB1(チアミン)を分解する酵素であり、ビタミンB1(チアミン)を引き起こす原因になります。ビタミンB1(チアミン)は犬の健康にとって重要な水溶性ビタミンで、エネルギー代謝、神経伝達、心臓機能などに不可欠です。
ビタミンB1(チアミン)欠乏症は、疲労感、食欲不振、皮膚トラブルなどにつながります。具体的には、歩行障害、嘔吐、発作、筋力低下、神経障害などの症状が現れます。また、心臓肥大や心不全が発生する可能性もあります。
ただし、チアミナーゼは70度以上の熱で加熱すれば、効力をほぼ失うとされています。
犬にエビを与えるメリット
エビは高品質なタンパク質源であり、犬の健康な筋力維持に必要なアミノ酸を豊富に含んでいます。タンパク質は犬の体の基本的な構成要素であり、筋肉の修復や成長、新しい細胞の生成に欠かせない役割を果たします。加えて、ビタミンとミネラルが豊富で、特にビタミンB3、ビタミンB12の良い供給源です。ビタミンB12は神経系の健康と細胞の機能をサポートし、ビタミンB3はエネルギー代謝に重要な役割を果たします。
加えて、エビにはオメガ3脂肪酸も含まれており、炎症を抑制する効果があるため、関節炎がある犬の炎症と痛みを和らげるのに役立つ可能性があります。また、心臓の健康をサポートし、認知機能の維持にも寄与することが示されています。
犬にエビを与える際の適量
犬にエビを与える場合は、体重に合わせて以下の量を参考にしてください。あくまでもカロリー上の算出値であるため、主食を阻害しない量にしましょう。
犬の体重目安 | 1日あたりの摂取可能目安 |
小型(2~5kg) | 21g~42g |
中型(6~15kg) | 48g~96g |
大型(20~50kg) | 119g~237g |
エビのおすすめの与え方
主食にトッピング
エビのおすすめの与え方としては、主食にトッピングすることをおすすめします。ドライフードやウエットフード、フレッシュフードなどの主食に、一回当たりの摂取カロリーを超えない範囲で加熱し細かく刻んだエビを加えると、上述した栄養素を摂取しつつ、普段とは違った食感を愛犬に楽しんでもらうことができます。
エビを犬に与える際の注意点について詳しく説明します。
犬にエビを与える際の注意点
生のエビは絶対にダメ!エビは加熱してから与える
上述した通り、ビタミンB1を分解したり破壊したりする酵素であるチアミナーゼを破壊するために、必ず加熱してください。おすすめの過熱方法は、茹でる、蒸す、焼くです。
甲殻類アレルギー
エビを食べることによって、甲殻類アレルギーを引き起こす可能性があります。最初は少量から与え、皮膚の痒みや湿疹、下痢、嘔吐、元気がなくなるなどが起こらないことを確認しましょう。問題なければ、その後も与えるようにしましょう。アレルギー症状が発症した際には速やかにかかりつけの獣医さんに相談しましょう。
エビの加工食品は与えない
人が食べる乾燥エビやエビせんは、犬にとって塩分濃度が高く、心臓や腎臓に大きな負担をかけてしまう可能性もあるため、を愛犬に与えないようにしましょう。加工食品を食べると、塩分過多や添加物を体内に入れることもあるので、避けることをおすすめします。
犬が生のエビを食べてしまった場合の対処法
生のエビを食べてしまった場合は、まず、かかりつけの獣医さんに相談しましょう。間違っても、飼い主自らが無理矢理吐き出させるようなことはしてはいけません。獣医さんでも慎重に行う処置なので、飼い主さんが行うのはやめておきましょう。
診てもらう際には、いつ、どのくらい食べたか、水を飲んだか、どんな症状が見られたかなどをメモして獣医さんに伝えましょう。そうすることで、現状把握がしやすく、スムーズに診察・治療が進められます。
エビを使った愛犬用レシピ
エビを使った犬用(5kgを想定)のレシピを一つご紹介します。
材料
- 生エビ 50g(殻を剥き、背わたを取り除いたもの)
- さつまいも 50g(皮を剥いて小さくカット)
- かぼちゃ 50g(種を取り除き、皮を剥いて小さくカット)
- 小麦粉 1/4カップ(無脂肪であればなお良い)
- オリーブオイル 小さじ1
- 水 適量
手順
- さつまいもとかぼちゃの準備
さつまいもとかぼちゃを柔らかくなるまで蒸しまたは茹でます。これらは犬の消化を助け、ビタミンやミネラルを提供します。 - エビの調理
オリーブオイルをフライパンに熱し、エビを中火で炒めます。エビがピンク色になって透明感がなくなるまで約2-3分間炒めます。完全に火が通ったことを確認してください。 - 野菜のピュレ化
蒸しまたは茹でたさつまいもとかぼちゃをフードプロセッサーに入れ、滑らかなピュレになるまで混ぜます。必要に応じて少量の水を加え、混ぜ合わせの調整を行います。 - エビの追加
調理したエビをフードプロセッサーに加え、さらにピュレ状になるまで混ぜ合わせます。この際、全体が均一に混ざるようにしてください。 - 成形と焼成
オーブンを180度に予熱します。ピュレ状の混合物を小麦粉を振った作業台に置き、1/4カップの混合物を取り、小さなボールやパティの形に成形します。オーブンの耐熱皿に配置し、表面が軽く金色になるまで約15-20分焼きます。 - 冷却
オーブンから取り出し、完全に冷ましてから犬に提供します。残りの食事は冷蔵保存し、数日以内に使い切ってください。
愛犬にエビを与える際によくある質問
- 犬にエビを与えても大丈夫ですか?
-
適切な調理を行った上であれば大丈夫です。殻や背わたを取り除き、しっかり加熱して与えるようにしましょう。
- 犬にエビをどのくらいの頻度で与えればいいですか?
-
おやつや特別なご褒美、トッピングとして与えるのが良いので、週に1~2回程度で適量を守って与えましょう。
まとめ
エビには、ビタミン類やミネラルが豊富に含まれているため、与える量や与える際の注意点に気をつければ、愛犬の健康維持に役立つ食材です。しかし、与え方を間違えると健康を損なう可能性もあるため、十分に注意しましょう。
与える際には、本記事を参考にしてみてください。